昆虫科学教育館では現在、環境省が行っている自然再生協議会の事務局となるべく、準備をしている。本年度は、宮城県の栗原市にある、3つのラムサール条約湿地がある、内沼・外沼サンクチュアリーで全国協議学会が開かれ久留飛館長と共に参加しました。ここは、ロシアから約4000㎞の旅をして飛来する”マガン”という水鳥の越冬地です。”マガン”たちは北海道を経由して9月下旬頃にこの湿地に到着し2月になると宮城から北へ向かい秋田、北海道を経て、5月初めにロシアに帰るそうです。
このサンクチュアリーでは、農家のひとが、冬の田んぼに水を張る「ふゆみずたんぼ」を作り、採食地や、安全に過ごせるねぐらとなる水面を作っています。「ふゆみずたんぼ」は、水鳥のねぐらを増やすだけでなく、生きものと農業の共生を目的として始められ、宮城県はこの湿地の保護活動を行なっておられます。
このサンクチュアリーが維持されているのは、職員の皆さまの地道な日々の努力と汗のたまものである!この言葉につきると感じました。帰りに少し足を延ばし震災で大きな被害を受けた南三陸の志津川町にいってきました。復興の旗を掲げた大きなトラックが行きかい、震災の爪跡が残り、阪神大震災を経験した私にとっては、心が痛む旅になりました。志津川湾を楽しそうに、気持ちよく飛び交うたくさんの、ウミネコたち。みんな、このすばらしく素敵で、雄大な南三陸で生きていくんだね!

投稿者プロフィール

古橋紀子
古橋紀子
長年、箕面公園昆虫館のバタフライガーデンの運営を担当し、非常に困難な南方系の様々なチョウを年間を通じて飼育、放蝶させ、また他の施設では成功しなかった種類のチョウの累代飼育を成功させた昆虫飼育のプロの学芸員である。